債務整理の現状と今後の展望

ここ数年、債務整理の現場では、大きな変化が起きています。そこで、長年、債務整理をしてきた実体験を踏まえて、債務整理の現状と今後の展望について書きたいと思います。

これまでの債務整理

平成18年の最高裁判決により、それまでの高金利(これを「みなし弁済」といいます)が認められなくなりました。

これにより、司法書士などが債務整理を受任すると、まずは各業者から取引履歴を取り寄せて、利息制限法で引直計算をするのが大原則です。

この影響で、長年、貸金業者と取引があるような場合は、負債が大幅に減るどころか、逆に過払い金が発生するケースが激増しました。

そのため、以前であれば自己破産や個人再生だったケースでも、任意整理で解決できたり、過払い金を回収することで、借金がすべてなくなるということも珍しくなくなりました。

この結果、債務整理の現場では、自己破産の件数が年々減少する代わりに、過払い金返還請求が激増し、その結果、中小の貸金業者を中心に多くの業者が廃業・倒産に追い込まれました。

この点については、平成22年にサラ金最大手の武富士が倒産したことからも明らかです。

過払いバブルの終焉

みなし弁済を否定した平成18年の最高裁判決以降、多くの多重債務者は過払い金返還請求という形で、貸金業者に対して逆襲を始めました。

その結果、多くの貸金業者が廃業に追い込まれましたが、ここにきて過払い請求も一段落し、事件数も減少してきました。

とはいえ、依然として、多くの多重債務者が存在することは紛れもない事実です。しかし、過払い請求を生き延びた貸金業者の対応は、数年前よりも格段に悪くなっています。

これは、貸金業者の体力が低下しているということが、最大の要因と思われますが、近年は、過払い請求により廃業寸前に追い込まれた貸金業者をあえて買収し、たとえ判決を取られても過払い金の返還に応じないにもかかわらず、逆に貸付金の回収は徹底的に行うといった悪質な業者も現れました。

また、最近では、大手サラ金業者や大手信販会社の一部も、強硬な態度を取ってくるようになり、任意整理ができなくなるケースが増えてきています。

任意整理の課題

これまでの任意整理では、利息制限法で引直計算をした残元金を「無利息」で分割返済するのが普通でした。

しかし、近年では、無利息での分割返済に応じず、将来利息を要求してきたり、一括返済でなければ和解に応じないといった強硬な態度を取る貸金業者が増えてきました。

こういった貸金業者に対しては、金融庁による積極的な行政指導を期待したいところですが、今のところはそういった動きはなく、話し合いが基本である任意整理の限界が露呈しています。

任意整理から個人再生へ

一部の強硬な貸金業者のせいで、今後は任意整理ではなく、個人再生を選択することが増えると思われます。

というのも、個人再生は裁判所による手続きなので、強制的に借金をカットしてもらうことが可能だからです。しかし、個人再生を選択した場合、債務者自身の負担が格段に増します。

任意整理であれば、司法書士等がすべての和解交渉を行うので、基本的に依頼者は和解手続きが終わるのを、ただ待っていればよいというスタンスです。

反面、個人再生は裁判所に申し立てをするため、依頼者にも色々と書類を集めてもらう必要があり、依頼をしたからといって、専門家に丸投げすることはできません。

また、原則的に裁判所が任命した個人再生委員との面談もあります。

まとめ

自己破産は平成15年、個人再生は平成19年をピークに徐々に減少しています。 しかし、日本の景気はいまだ改善されず、給料は増えるどころか、年々、税金の負担は増し、生活は苦しくなる一方です。

また、過払い請求が激減する反面、強硬な貸金業者の台頭で、任意整理が困難になってきているという現状を踏まえると、今後は自己破産や個人再生の件数が再び増加に転じてもおかしくありません。

自己破産や個人再生は、任意整理と違い、すべてを専門家任せにすることはできません。

よって、我々専門家は、依頼者と緊密な連携を取りながら債務整理を進めていかなければいけないのは当然ですが、依頼者にも「再起に向けた強い決意」が求められる時代に入ったといえます。

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