任意整理の概要と特定調停との違い

住宅ローン以外の借金の返済が苦しい場合、それらの借金を任意整理することで、住宅ローンもまた返済できるようになるかもしれません。

そういった場合に、適しているのが任意整理です。

任意整理であれば、特定の債権者だけを対象にすることができるので、たとえば、住宅ローンには手を付けないことも可能です。

また、車のローンもあるような場合は、それも除外することで家や車を手放さずに、その他の借金だけを整理の対象とすることができます。

ただし、除外する以上は、それ相応の収入があることが条件です。

つまり、家や車のローンは今までどおり支払ったうえで、なおかつ、任意整理対象の借金を毎月返済できるだけの収入があることが条件となります。

では、任意整理をすると、どういった条件での支払いにになるのかをみていきたいと思います。

まず、任意整理の原則は、将来利息は免除したうえでの分割返済です。

将来利息というのは、今後支払うはずであった利息のことです。

たとえ、分割払いにしてもらっても、今までと同じ利息を取られていたら任意整理をする意味がありませんので、将来利息の免除が原則です。

次は、分割払いにしてもらうことです。

期間はケースバイケースですが、標準は3年です。

よって、住宅ローン以外の負債を3年で払えそうであれば任意整理ができる可能性があります。

たとえば、住宅ローン以外の借金が108万円あるとします。

108万円を3年(36回)で割ると、毎月の返済額は3万円になります。

住宅ローンを毎月7万円支払っているとしたら、それ以外の借金の返済が毎月3万円になります。

つまり、住宅ローン以外に毎月3万円を支払うだけの手取収入があるのであれば、任意整理でマイホームを守ることができるかもしれないわけです。

ただし、ここ最近は一部のサラ金業者が、将来利息の免除に応じなかったり、一括返済でないと和解しないといった強硬な態度を取るところがあります。

こういった業者が含まれていると、任意整理全体の計画が立たなくなってしまい、結果的に個人再生を選択せざるを得ないといったことも、今後は出てくる可能性があります。

以下はもともと低金利の借入先を任意整理するケースをご紹介いたします。

任意整理の相談でAさんが来所。

私 「借入先はどこになりますか?」

Aさん 「武富士、オリコ、ニコス、OMC、モビット、アットローンの6社です。ただ、モビットとアットローンはもともと金利が低いので今回の任意整理からは除外しようと思うのですが」

私 「確かにモビットとアットローンは低金利(18%以下)なので利息制限法で引き直しをしても債務は減りませんが、任意整理をすれば将来利息をカットして和解しますので特に近々、一括返済をする予定がないのであれば一緒に手続に組み入れてしまった方がいいと思いますよ」

Aさん 「なるほど・・・一括返済できる目処はありませんので、モビットとアットローンも一緒にお願いします」

私 「わかりました」

もともと18%以下の借り入れだと任意整理をしても残高(元金)が減ることはありません(もちろん、延滞利息や損害金は免除になることはあります)。

このようなことから低金利の借入れについてはそもそも任意整理の対象にならないと思っている方が少なくないようです。

確かに利息制限法の引直計算の対象にはなりませんが、任意整理をすれば将来利息はカットして和解しますので、今後の返済で取られる金利を考えれば任意整理をするメリットは十分にあります。

18%以下の金利といえども昨今の銀行の定期預金の金利に比べても10倍以上ですからバカになりません。

今まで低金利の業者に関しては任意整理の対象にならないと諦めていた方はよく知っておいて欲しいと思います。

ところで、任意整理 は司法書士や弁護士が裁判所を通さないで債権者と和解をしますが、これと似たような制度で特定調停 というものがあります。

特定調停は司法書士などに依頼をしないでも債務者本人が簡易裁判所に申し立てをすることにより、任意整理とほぼ同じ効果が得られます。

ただし、両制度は似てはいますが、それぞれ長所・短所がありますので注意が必要です。

以下に、両制度の主な違い を書いておきます。

① 利息制限法による引き直し の結果、過払い金 が発生していた場合、任意整理では司法書士などが回収までしてくれるが、特定調停では裁判所は過払い金の回収まではしてくれない

② 任意整理では司法書士と債権者の間で和解書を取り交わすが、特定調停は成立すると判決と同じ効力があるので、もし、返済が遅れてしまうと差し押さえを受ける危険がある

③ 任意整理の分割回数はおよそ36~60回までの間で柔軟に対応できるが、特定調停では原則的に36回払いとなり、任意整理に比べて柔軟な対応がしずらい

④ 任意整理では司法書士などに依頼をすればすぐに請求が止まるが、特定調停では裁判所へ申し立てをするまでは請求が止まらない

以上を踏まえますと、個人的見解ですが特定調停よりも司法書士などに任意整理を依頼した方が良いと思います。

任意整理であれば特に給与明細等を債権者に提示する必要もありませんし、分割回数も柔軟に対応できます。

依頼をすれば当然、報酬はかかってしまいますが、もし、司法書士などに依頼するお金がなくて特定調停にしようと思っている方は、法テラス が報酬を立替えてくれる制度もありますのでご検討されてみてはいかがでしょうか。

以下は自分で特定調停をしようと思った方が、当事務所に任意整理を依頼された実例の紹介です。

Aさんは以前、特定調停を申し立てようと裁判所に行き、申立書一式をもらったが途中で断念。

その後、しばらくは返済を続けていたが、やはりどうにもならなくなり当事務所に相談に来ました。

Aさん 「以前、特定調停をしようと思ったんですけど、裁判所から債権者一覧表の不備を指摘されて申立できませんでした」

私 「そうですか、どの辺を指摘されましたか?」

Aさん 「債権者の借入時期や残額などを詳しく書くように言われたのですが、なにぶん当時の資料もありませんし、どう書いたらよいのかも分からないもので諦めました」

私 「うちが任意整理をする場合は、債権者名がわかれば、あとは各社から今までの取引履歴を取り寄せますので大丈夫ですよ」

Aさん 「それは助かります。ところで、任意整理と特定調停の違いはなんなんでしょうか?いまいちよく分からないのですが」

私 「任意整理も特定調停も結果はほとんど一緒なのですが、我々のような専門家は裁判所を介さずに直接、債権者と交渉をして和解しますので特定調停を使うことはないんですよ」

   「反面、Aさんのような一般の方が専門家に依頼をしないで任意整理と同じ効果を得るには裁判所に特定調停を申し立てる必要があるわけです」

Aさん 「なるほど・・・」

私 「あと、特定調停が成立すると調停調書が作成されるのですが、これは判決と同じ効力があるので、もし、調停後に再び返済が行き詰まると給与の差し押さえなどをされる危険がありますが、任意整理では当事務所と債権者の間で和解書の取り交わしをするだけなので、仮に返済が行き詰まってもすぐに差押えということにはなりません」

Aさん 「それなら任意整理の方がいいですね」

私 「そうですね。ただ、任意整理では当然、報酬がかかってしまいますのでその点だけは特定調停と比べるとデメリットといえますが、それ以外は任意整理の方がいいと思いますよ」

Aさん 「わかりました。じゃあ、任意整理をお願いします」

特定調停か任意整理かを最終的に決めるのは債務者自身です。

ただ、このブログでも何度か取り上げていますが、費用の面さえクリア―出来れば、特定調停よりは任意整理の方がよいと思われます。

当事務所ではもちろん、費用の分割払いにも応じていますのでお悩みの方はお気軽にご相談下さい。

これに対して、自分で特定調停をしようとした方も以下にご紹介しておきます。

年配の独身女性から債務整理の相談を受けました。

聞くところによると、借金は1社で20万円くらいで、これ以外には一切借金はないらしい。

毎月1万2000円程度の返済をしているらしいが、パートの時給が下がったため5000円程度が限界とのこと。

借入を始めたのも最近で利率も18%なので、利息制限法による引直計算の対象外。

私 「20万円を3年返済だと毎月の返済額は約5500円となります」

女性 「そのくらいならなんとか払えそうです。ただ、先生には申し訳ないのですが、お金に余裕がないので、自分でできることは自分でしたいと思っています」

私 「それは全然構いませんよ。ただ、そうなりますと当事務所に任意整理の依頼をされるよりはご自分で特定調停をされた方がよいかもしれませんね」

女性 「特定調停?それをするにはどうすればいいんですか?」

この後、女性に特定調停の説明を一通りしました。

その結果、少しでもお金をかけずに借金を整理したいとの意向が強かったので今回は自分で特定調停をすることになりました。

ところで、数年前の法改正により、司法書士も任意整理ができるようになったので、特定調停の利用は一時期よりは減っていると思われます。

ただ、今回のように少しでもお金をかけずに債務整理をしたいようなケースであれば、特定調停を検討してみるのもよいかと思います。

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