個人再生には2種類あります。
小規模個人再生と給与所得者等再生です。
小規模個人再生は、定期的な収入がある者が利用でき、会社員、公務員、アルバイト、パート、個人事業者、年金受給者でも利用することが出来ます。
給与所得者等再生は定期的かつ安定した収入がある者が利用でき、上記の者のうち、会社員、公務員が主に利用できます。
2種類の違いは、まず小規模個人再生が前提として存在し、その中の特則として給与所得者等再生があるという点です。
換言すると、小規模個人再生を利用できる人の一部が給与所得者等再生を利用することができるということになります。
つまり、給与所得者等再生の方が、利用できる人は限定的なのです。
次に、手続面での違いを述べますが、大きく3つの違いがあります。
その3つとは、債権者の書面決議、最低弁済額、申立ての制限期間です。
小規模個人再生は、債権者の書面決議が必要であり、最低限弁済すべき額は清算価値と最低弁済基準額の2つの内の最も高い額であり、申立ての制限期間はありません。
これに対し、給与所得者等再生は、債権者の書面決議が不要であり、最低限弁済すべき額は清算価値と最低弁済基準額と可処分所得2年分の3つの内の最も高い額であり、申立ての制限期間があります。
給与所得者等再生は、債権者の書面決議が不要なので、その分、最低弁済額と申立ての制限期間の要件が厳しくなっています。
債権者の書面決議とは、再生計画に対する書面による不同意か否かの債権者の回答のことです。
不同意の債権者が、債権者総数の半数に満たず、かつ、その不同意債権者の債権額が、総債権額の2分の1を超えないときは、再生計画は可決されます。
最低弁済額における清算価値とは、保有している資産の額以上は返済せよ、ということです。
最低弁済基準額は、債務総額によって異なりますが、原則として債務総額の5分の1か100万円のいずれか多い金額を返済しなければなりません。
つまり、債務総額の8割の支払義務が免除されるわけです。
なお、可処分所得とは、収入から税金及び社会保険料並びに再生債務者とその扶養を受けるべき者の最低限度の生活費を控除した金額のことです。
申立ての制限期間とは、給与所得者等再生の認可決定、ハードシップ免責決定、破産免責決定のそれぞれの確定日から7年間は申立てが出来ないというルールです。
これら用語の意味を述べたところで改めて整理すると、小規模個人再生は、債権者の書面決議が必要であり、最低限弁済すべき額は清算価値と最低弁済基準額の2つの内の最も高い額であり、申立ての制限期間はないということになります。
これに対し、給与所得者等再生は、債権者の書面決議は不要であり、最低限弁済すべき額は清算価値と最低弁済基準額と可処分所得2年分の3つの内の最も高い額であり、申立ての制限期間があるということになります。
どちらを選択すべきか判断するには専門的知識を要するので、司法書士等に相談してみるのが良いと思います。
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