個人再生は自営業者も利用可能
個人再生の要件の一つに債務者に「継続して安定した収入」があることが挙げられています。
収入に関してよく聞かれる質問を紹介します。
「年金生活者でも個人再生できますでしょうか?」
年金は継続して安定した収入といえるので個人再生の要件は満たします。
「傷病手当は収入とみなされますか?」
傷病手当などの諸手当は、支給期限が決まっています。
よって、期限が来れば収入がなくなりますので、継続して安定した収入とはいえません。
「アルバイトでは個人再生は無理ですか?」
アルバイトやパート、派遣社員や契約社員でも個人再生が認められる可能性はありますが、あとはその仕事内容や収入、今までの勤務履歴などで認可されるかどうかが変わってくると思います。
ただ、正社員や公務員などに比べれば安定しているとはいえませんので、その辺はマイナス印象となります。
「主婦ですが主人に収入があるので個人再生できませんでしょうか?」
個人再生ではあくまでも債務者本人に収入がないと利用できませんので、夫がいくら高収入であっても主婦だと利用することはできません。
個人再生は大幅に借金をカットして3年で返済をしていく制度ですので、使いようによっては大変便利な債務整理の手段といえます。
その反面、借金の大幅なカットをする以上は継続して安定した収入が要求されます。
また、個人再生を利用することができるのかどうかは収入以外にも色々検討しなければいけないことがありますので、やはり一度、弁護士や司法書士に相談されることをお勧めします。
上記のとおり、個人再生はサラリーマンや公務員などの安定した職業の方だけが利用できるものではありません。
自営業者や年金生活者でも利用できますし、アルバイトやパートの方でも利用可能です。
法律上はアルバイト等でも利用が認められていますが、実務上は会社員や自営業者である場合がほとんどです。
なお、個人再生には大きく分けて2種類あり、制度上はサラリーマン等の給与所得者型と自営業型に分けられています。
給与所得者が他の正式名称は給与所得者等再生といい、自営業型は小規模個人再生といいます。
どちらのタイプが良いかは、それぞれに一長一短があるので、一概にどちらがいいとは言えませんが、サラリーマン等の給与所得者は給与所得者等再生と小規模個人再生のどちらか好きな方を選択できるのに対し、自営業者は給与所得者ではないので、必然的に小規模個人再生しか選択することができないようになっています。
ところで、自営業者の中には確定申告の金額を実際より低く申告しているケースがあります。
そういった場合、一見すると個人再生をするには所得金額が足りないような印象になってしまいます。
実際の金額よりも低く申告すれば、その分納める税金が少なくなりますが、個人再生の局面では収入が少ないのはマイナス印象です。
なぜなら、個人再生は自己破産とは違って、今後も一定額の借金を返済しなければいけない手続きなので、毎月、普通に生活をしたうえでさらに借金の返済に回せるだけの継続して安定した収入が要求されているからです。
具体的にどのくらいの収入があればよいのかについては、その人の家族構成や借金総額によって変わってきますからケースバイケースとなります。
当事務所の管轄である千葉地方裁判所の運用では、客観的に収入金額が少ないかなという印象であっても、個人再生を認めている例はたくさんありますので、自営業者でも諦めずに個人再生を検討されることをおススメします。