個人再生はギャンブルや浪費があっても利用できる
住宅ローンが払えなくなって、そのまま放置すると競売により家を失います。
なお、任意売却であれば、競売よりも高値で売れて、引っ越し費用も確保できる場合があります。
しかし、任意売却といえども家を失う手続であることには変わりありません。
よって、家を失いたくないのであれば、どうにかして住宅ローンを払い続けるしかありません。
とはいえ、住宅ローン以外にも借金があると、そちらの返済もしなければいけないので、たとえ、一時的に住宅ローンだけを返済しても、結局は行き詰ってしまいます。
そんな場合に、うってつけなのが裁判所を利用した個人再生という手続きです。
よって、家を手放さずに借金を整理するためには、任意売却ではなく個人再生を選択する必要があります。
ここで、気になるのが借入れをした理由がギャンブルや浪費であっても、個人再生を利用できるかどうかです。
というのも、自己破産では、ギャンブルや浪費は原則NGだからです。
しかし、個人再生では借入れをした理由は一切問われません。
なぜなら、自己破産が借金を帳消しにする手続きであるのに対して、個人再生は借金を大幅にカットはしますが、あくまでも返済を前提にした手続きだからです。
要するに、返済する額は大幅に減るものの、返済を前提にした手続きであるので、借入れをした原因を重視するのではなく、返済できるだけの資力があるのかどうかが重要というわけです。
なお、住宅ローン自体は返済しなければいけませんので、もし、住宅ローンだけでも返済しきれないという場合は、個人再生を利用することはできません。
以下は当事務所に実際にご相談に来られた方の事例紹介です。
私 「借入をしてしまった原因はなんですか?」
Aさん 「・・・最初はギャンブルです。主にパチンコです。その後は生活費や返済資金が足りなくなって、いわゆる自転車操業です」
私 「そうですか。できれば返済していきたいですか?」
Aさん 「はい、借りたものなので、できることになら返していきたいです」
私 「Aさんの場合、借り入れも比較的最近なので、利息制限法で引き直しをしてもおそらく負債総額は今とほとんど変わらず500万円前後ではないかと思われます」
Aさん 「やっぱりほとんど減らないんですね・・・」
私 「500万円を任意整理で毎月返済していくとなりますと、毎月10万円程度の返済が必要となります。Aさんの毎月の手取り収入は25万円ですからちょっと無理ですね」
Aさん 「そうなると自己破産しかないですか?」
私 「いえ、自己破産の他に個人再生という手もあります。自己破産ではギャンブルは免責不許可事由に該当しますが、個人再生ならギャンブルでの借入でも大丈夫なんですよ」
Aさん 「そうですか!」
私 「個人再生をすればおそらく毎月の返済額は3万円程度になると思います。Aさんはまだ独身ですし、3万円であれば何とか返していけるのではないですか?」
A 「はい!3万円くらいなら返していけます。ぜひ、個人再生でお願いします!」
Aさんのようにギャンブルが原因で借入れをしてしまった場合、自己破産を選択すると形式的には免責不許可事由に該当するので、すんなりと免責が認められる可能性は低いといえます。
反面、個人再生には自己破産のような免責不許可事由はなく、仮にギャンブルや浪費での借り入れであっても継続して安定した収入があれば個人再生が認可される可能性が高いでしょう。
よって、今回は自己破産よりも個人再生の方が得策と考え、また、Aさんも借りたものは少しでも返したいという強い気持ちがあったため個人再生を選択することになりました。
個人再生は住宅ローンがある場合に最も有効ですが、ギャンブルや浪費が原因で借入れをしてしまい、負債額が大きく任意整理できない場合にも有効な債務整理の手段といえます。
いずれにせよ、個人再生で家を守りたい方は、借入原因については気にする必要がありませんので、ギャンブルや浪費等が主な原因であっても、まずはお気軽にご相談ください。