任意売却⇒自己破産
住宅ローンが払えなくなって、任意売却なり競売で自宅を手放しても、売却代金で住宅ローンを全部支払えるかどうかはわかりません。
もし、多額の住宅ローンが残った場合、その後は債権回収会社(サービサー)が請求してきます。
サービサーは、住宅ローンの残金を非常に安値で買っていますので、うまくいけば毎月1万円の返済でいいよ、と言われるかもしれません。
しかし、原則的には多額の住宅ローンが残ったのであれば自己破産をして、再スタートを切った方が良いのではないかと思われます。
この辺の判断は、ご本人の考えにもよりますので、一概に自己破産をした方がいいとか、サービサーと交渉して多少返済が苦しくても分割返済した方がいいとはいえません。
よって、いかなる場合でも自己破産をした方がよいとはいえませんが、どちらを選択すべきかを判断するためには、自己破産のデメリットを知っておく必要があります。
そこで、自己破産の主なデメリットを挙げてみます。
1. 資格制限がある
2. 破産者名簿に載る
3. 保有財産(およそ20万円以上)は没収の対象になる可能性がある
資格制限というのは、医師や弁護士などの一定の資格者は、破産手続中は登録ができなくなります。
ただし、この制限は免責決定により解消しますので、一生続くわけではありません。
破産者名簿に載ると、役所で取得できる身分証明書という書類に破産者である旨が記載されます。
なお、ここでいう身分証明書というのは、一般的な運転免許証や健康保険証のことではなく、役所で取れるもののみです。
通常の生活では、この身分証明書を使うことはありませんが、成年後見人になる場合等に、自分が破産者ではないことを証明するために、役所の身分証明書が要求されることがあります。
なお、身分証明書への記載も免責決定により解消されます。
また、戸籍や住民票には一切記載されませんのでご安心下さい。
最後に、保有財産の処分ですが、通常の生活用品は一切処分されません。
しかし、およそ20万円以上の価値のあるものは、処分の対象になる可能性があります。
たとえば、預貯金や保険の解約金や自動車です。
なお、掛け捨てタイプの保険は、自己破産をしてもそのまま続けられます。
また、自動車も査定価格が、およそ20万円以下であれば、そのまま保有できる可能性が高いです。
よって、仕事が資格制限に引っかからず、特にめぼしい財産もないのであれば、自己破産を選択して、再スタートを切った方がよいケースといえるでしょう。