過払い請求をおこなう場合の争点(時効、取引分断、信用情報など)

ケース①

過払い金の時効の話です。

某地方銀行系列の信販会社のキャッシングをかなりの長期間にわたって利用していたケース。

しかし、キャッシングの返済方法が翌月一括払いのため、信販会社の主張では過払い金の時効は回の貸し付けごとに個別に進行するとのこと。

完済してからまもなく10年の事案なので、この考えだと最後の貸し付けで発生した数百円しか請求できず、それよりも前のものについてはすべて時効となる。

しかし、取引当初から完済までを一連計算すると過払い金の額は100万円を超えているケース。

もちろん、こちらとしては一連計算で請求しましたが、元金の8割程度までしか返金に応じないため提訴しました。

翌月1回払いの場合、信販会社が今回のように個別取引を主張してくることがありますが、仮にそれぞれの取引が個別と判断すると取引関係が非常に複雑になるので現実的ではありません。

今のところ裁判所の考えも一連計算が主流なので、よほどのことがない限りはこちらの主張が認められるはずです。

翌月一括払いの方でお困りの方はご相談ください。

ケース②

最近、大手信販会社(主にあの2社)が取引の分断を主張してくる根拠の一つに

「利率が利息制限法の範囲内になった」

というものがあります。

これは、どういうケースかといえば、平成18年の最高裁判決により、事実上みなし弁済が認められることがなくなったため、それ以降の利率を自主的に利息制限法の範囲内に下げたような場合です。

つまり、取引の初めの方は利息制限法を超える利率だったが、平成18年の最高判決以降に利息制限法の範囲内の利率に下げたような場合に、それを境に取引が分断されるという主張です。

とはいっても、利率が下がっただけで、特に基本契約を締結しなおしたわけではありません。

にもかかわらず、取引が分断されるというわけです。

これは、少しというかかなり無理がある主張だと思います。

そもそも、利率は契約条件の一つに過ぎません。

それが変わった(変わったといっても、信販会社が一方的に利率を下げただけ)からといって、基本契約が同一であるにもかかわらず、引き直し計算をする際には、別個の取引として計算するべきというのは通用しないと思います。

そもそも、信販会社の場合、基本契約と呼べるものは、取引当初に締結したものだけであることがほとんどです。

そして、基本契約が一つであるならば、今までの最高裁判決の解釈からして、当然、一連計算となるはずです。

にもかかわらず、最近のこの手の主張には、正直どうかと思います。

個人的には、すでに決着済みの論点の蒸し返し(貸金業者の常とう手段ですが)としか思えませんが、中にはこういった主張を認めてしまう裁判官もいるかもしれませんので、反論はきちんとしておくべきですね。

ケース③

信販会社のキャッシングには支払方法がリボではなく1回払いのものがあります。

例えば、10万円を借りて、その翌月に10万数千円を一括で返すような返済方法です。

このような1回払いであっても引き直し計算する際には一連計算するのが主流ですが、信販会社の中には返済方法が1回払いの場合、その1回の貸付けごとに個別に計算するところもあります。

その場合、1回の貸付けに対応する一括返済金で発生する過払い金は貸付金額にもよりますが、1回あたり数百円から数千円です。

そして、1回ごとに発生した過払い金を積算してその合計金額を過払い金の総額として主張してきます。

このような個別計算をすると一連計算した場合よりも過払金額が少なくなるので、信販会社の中には1回払いだと個別計算を主張してくるところがあります。

また、個別計算だと10年以上前の分はすでに消滅時効だと主張してきます。

その考え方だと、平成16年8月以前の取引で発生した過払い金は時効になるので請求できません。

しかし、一連計算では取引はずっと継続しているのでその取引が終了した時から10年以内であれば時効にはなりません。

なお、このような個別計算の主張が裁判で認められることはまずありません。

私が担当した事件でも個別計算を採用するような裁判官には出会ったことがありません。

よって、司法書士等に頼まずに自分で過払い請求をされている方で、裁判前の交渉で信販会社が個別計算の主張してきた場合は、ずるずると話を続けるよりも一連計算で提訴すれば現実的には個別計算が認められることはまずないので、一連計算で算出したが認められる可能性が高いです。

もし、ご自分で裁判をしている時間がなかったり裁判手続きに不安がある方はお気軽にご相談ください。

ケース④

2008年当時は負債が残っている段階で任意整理をすると、信用情報がいわゆるブラックになっていました。

ブラックになると5~7年程度はクレジットカードが使えなくなったり、新規の融資を受けられなくなります。

先日、ご来所されたAさんは各社の借入開始が平成18年頃と最近のため、利息制限法で引き直しをしても負債が残ることが確実。

私 「引き直し後の負債総額はおそらく4社で180万円くらいなので毎月5万円程度を返済できるのであれば任意整理で済むと思われます」

Aさん 「そうですか、5万円なら大丈夫です」

私 「ところで、任意整理をしますとブラックになってしまいますがよろしいですか?」

Aさん 「えっ!そうなんですか?」

私 「はい、完済後の過払い請求であれば原則的にブラックにはならないのですが、Aさんのように負債が残っている時点で任意整理をするとブラックになってしまうんですよ」

   「もし、ブラックになるのを避けるのであれば、今まで通り返済を続けて完済をしてから過払い請求をする必要があります」

Aさん 「(しばらく考え込む)・・・そしたら今まで通り支払います。今も何とか支払えていますので頑張ってみます」

Aさんはブラックになるのが嫌で今まで通り支払う道を選びました。

あとはAさんがこれからも遅れずに返済を続け、完済されることを願うだけです。

別のケースの話。

債務整理の相談でAさんが来所。

聞くところによると、10年以上前から武富士等の大手消費者金融から借入れをしている模様。

また、Aさんは自営で運送業をしているとこのこと。

私 「借金は利息制限法で引き直しをすれば大幅に減り、場合によっては逆に過払い金を回収できるかもしれません」

Aさん 「そうですか、それは助かります」

私 「ところで、今回のように任意整理をしますとブラックになってしまいますので、今後はクレジットカードなどが使えなくなりますがよろしいですか?」

Aさん 「そうするとETCカードも使えなくなりますか?」

私 「そうですね、おそらく使えなくなると思います」

Aさん 「それは困りましたね~。まぁ、でも今のうちに借金を整理しないとにっちもさっちもいきませんから、その辺は諦めることにします」

結局、Aさんの場合、取引先からETCカードを貸してもらえることになったため事なきを得ました。

Aさんのように負債が残った段階で任意整理をしますと、利息制限法による引き直しの結果、逆に過払いになっても原則的にブラックになってしまいます。

これに関してはいつもどうにかならないものかと思っているところですが、現状ではどうすることもできません。

最近は景気悪化の振興策として、ETC利用者に限って高速道路の大幅な割引が実施されていますので、AさんにとってはETCが使えるかどうかは非常に重要でした。

ブラックになるかどうかは債権者と信用情報機関次第という面があります。

しかし、せめて引き直しの結果、負債がなくなるような場合については、そもそも借金は完済していたのですからブラックにはしないような運用に改めて欲しいものです。

上記の例のように今までは、過払い請求をすると信用情報機関に「契約見直し」の情報が登録されていました。

これをいわゆる「ブラック」「ブラックリストに載る」等といいます。

このため、以前までは過払い請求中に住宅ローンの申し込みをしても、金融機関が信用情報をチェックした際に、この契約見直し情報があるために審査が通らないことがありました。

しかし、信用情報機関の取り扱いが変わり、約定金利で負債が残っていても、利息制限法で引直計算をして、すでに過払いであれば、たとえ完済前に過払い請求をしても、ブラックにならないことになりました。

これにより、過払い請求をしていても、信用情報には影響はないので、住宅ローンの審査にも通る可能性があります。

とはいえ、実際に住宅ローンの審査が通るかどうかは、金融機関が総合的に判断することなので、たとえ契約見直し情報が載っていなくても審査が通らないことはあります。

ただ、先月からの信用情報の取り扱いの変更により、今後は過払い請求中であっても、住宅ローンの審査が通る可能性が以前よりは高くなるのではないかと思われます。

ケース⑤

完済前に業者から取引履歴を取り寄せて、引き直し計算をした結果、過払いであることが判明したとします。

しかし、たとえ一連計算をして過払いであっても、取引の途中で分断があるような場合は要注意です。

こういったケースでは、事前に分断をした場合の計算もしておく必要があります。

一連計算なら過払いだけど、分断だとまだ借金が残る場合だと、分断が認められるかどうかによって、信用情報がいわゆるブラックになるかどうかに影響してきます。

なぜなら、完済前の過払い金請求における信用情報の取り扱いでは、引き直し計算の結果が過払いであればブラックにはなりませんが、過払いでなければブラックになるからです。

よって、こういったケースでは、過払い請求をしたものの、結果的に分断が認められた結果、予想外のブラックに・・・といったことになりかねません。

こういった危険性もありますので、どうしてもブラックになりたくないという方で、当事務所で引き直し計算する際には、最悪のケースも想定して、過払いになるかどうかを事前に確かめます。

そして、引き直し計算の結果、分断が認められたら借金が残るような場合は、すぐに過払い金請求をするのを控えることもあります。

その結果、分断が認められるリスクを考慮し、過払いになるまでは返済を続けるという選択をすることもあり得るわけです。

ケース⑥

本人訴訟における弁論準備手続きのお話。

通常の過払い訴訟は口頭弁論といって、公開の法廷で行われます。

公開なので、誰でも入れます。

反面、弁論準備手続きは非公開なので、密室でおこなわれます。

過払い訴訟で、この弁論準備手続きが行われる最大の理由は和解にしたいからです。

公開の法廷だと、1つの事件にあまり時間をかけられませんし、周りの目もあるので、裁判官としても無理な和解勧告はしづらいのです。

反面、弁論準備手続きは非公開なので、判決を書きたくない裁判官だと強引に和解を進めてくる場合もあります。

なお、弁論準備手続きを司法書士が傍聴できるかどうかは裁判官次第です。

しかし、民事訴訟法169条では

「裁判所は、相当と認める者の傍聴を許すことができる。ただし、当事者が申し出た者については、手続を行うのに支障を生ずるおそれがあると認める場合を除き、その傍聴を許さなければならない。」

と規定されています。

よって、条文どおりであれば、当事者が申し出れば、司法書士の傍聴を認めなければいけないのですが、この辺は本当に裁判官の気持ち一つです。

中には、理由もなく傍聴を拒否された司法書士の方が国を相手に訴えたこともあります。

いずれにせよ、本人訴訟で弁論準備手続きを指定されたら強引な和解勧告に要注意といえるでしょう。

ケース⑦

午前は千葉県内の某簡裁へ。

混んでいるときは片道2時間弱かかることもありますが、今日はスイスイで約1時間で到着。

裁判所も空いていて、5分ほどで終了。

事務所に戻ることなく、午後は別の簡裁へ移動。

こちらも一番に呼ばれて5分ほどで終了。

さらに、別の簡裁へ移動し、こちらもガラガラで即、終了。

夕方から相談の予約が入っていたので、急いで事務所へ戻り、相談者が来るまで書類のチェックやら電話対応など。

その後、予定どおり面談を終えて、ようやく一息ついてます。

今日は千葉県の端から端まで行った感じです。

明日は、土曜日ですが予約が2件入っています。

数年前に比べれば、確かに借金関係の相談は減っていますが、まだしばらくは続きそうな感じです。

過払いはいずれなくなりますが、自己破産や個人再生までなくなるわけではないですから。

なお、土日は基本的にお休みですが、事前に予約を入れて頂ければ極力対応していますのでお気軽にお問い合わせください。

ケース⑧

債務整理の相談でAさんが来所。

私 「まずは借入れの状況を教えて頂きたいので、古くから借入れをしている会社から教えて下さい」

Aさん 「詳しくは覚えていないのですが・・・」

私 「おおよその記憶で大丈夫ですよ」

Aさん 「一番古いのは○○で、次は○○、その次は・・・(略)・・・」

私 「すでに完済した債権者はありますか?」

Aさん 「はい。武富士がすでに完済しています」

     「ただ、完済するときに和解をさせられまして・・・」

私 「どのような内容の和解でしたか?」

Aさん 「当時、残高が約70万円あったのですが、そのうちの50万円を一括で支払えば残りは免除するといった内容でした」

私 「なるほど。それは利息制限法(18%)で引き直しをしないままの残高ですか?」

Aさん 「はい、そうです」

私 「そうなりますと今からでも過払い金の回収は可能です。早速、同社から取引履歴を取り寄せてみましょう」

Aさん 「ありがとうございます」

通常、債権者と和解をすれば、あとからその和解契約をひっくり返すことはできません。

ただ、Aさんのように利息制限法に引き直さずに、債権者がAさんの無知に乗じて和解をした場合は、その和解の無効を主張して、今からでも過払い金の回収は可能です。

これは利息制限法が強行法規だからです。

強行法規というのは、簡単にいえば当事者の合意よりも優先される法律のことです。

よって、すでにAさんのように利息制限法で引き直しをすることなく、和解をしてしまっているような方は、今からでも過払い金の回収ができる可能性がありますので、諦めずにまずは取引履歴を取り寄せてみるのがいいでしょう。

 

 

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