アコムとプロミスへの過払い請求と任意整理での対応
ケース①
某県の簡裁で過払い訴訟の1回目の期日があったので行ってきた際の話です。
相手はアイフル、丸和、ワイドの3社。
3社とも過払い利息の発生時点を争ってきていたし、1回目の期日なので裁判は続行になると思っていましたが・・・
裁判官 「では、訴状を陳述しますか?」
私 「はい」
裁判官 「被告からは答弁書が出ていますので擬制陳述とします」
裁判官 「和解の話は進んでますか?」
私 「いえ、金額に開きがあるので和解は無理そうです」
裁判官 「そうですか。では、結審します。判決は7月○日となります」
私 「はい、分かりました」
という感じでしたが、内心は
「えっ!1回目の期日で結審してくれるの?」
と驚いていました。
最近は利息の起算点を争ってくる業者が多いので、特に取引の分断 がなくても1回目の期日で結審することはまずありません。
裁判官によっては、利息の起算点の論点のみで2回、3回と裁判を続行する人もいます。
こちらとしては、一刻も早く過払い金を回収したいので、今回のように1回で結審してくれると非常に助かります。
しかも、この裁判官は判決も1ヵ月以内に出してくれたので本当に早い。
こんな裁判官ばかりであれば助かります。
ケース②
最近はアコムの過払いの対応が悪化してます。
これまでは訴訟をしないでも、時間はかかりましたが、返還日までの利息込みで和解できていました。
それが最近は訴訟をしないと和解の話がすすまなくなりました。
ただ、訴訟をすれば1回目の期日前までには返還日までの利息込みで和解できていました。
しかし、最近は訴訟をしても1回目の期日前では元金のみでの和解を主張してきて、話がまとまらなくなりました。
2回目の期日が近付くと、電話がかかってきて、最終取引日までの利息込みであれば和解できます。
最近はアイフルを筆頭に、貸金業者も経営状態の悪化が著しいので、返還日までの利息込みでの和解に固執するべきではないのかもしれません。
裁判上で返還日までの利息込みでの和解を主張すると正直、裁判官の印象もよくありません。
裁判官 「最近は貸金業者も厳しいんだから、原告はその辺も考慮してあげないと。過払い金の元金じゃだめなの?」
私 「元金での和解はちょっと・・・。せめて、最終取引日までの利息込みであれば和解してもいいですが」
だいたい、こんな感じです。
よって、これからのアコムは完済してから何年も経っていれば話は別ですが、そうでなければ最終取引日までの利息込みでの和解が現実的といえます。
ケース③
基本的にアコムから過払い金を満額回収するには裁判が必須ですが、裁判をすると2回目の裁判期日までには和解になるので、少なくても1度は裁判所に出廷する必要があります。
ただ、今回は諸事情により、少しでも早く回収する必要があり、1回目の裁判期日前にこちらから連絡してみました。
電話に出た担当者と○月末返金で決裁をあげてもらうことになり、回答を待つことに。
翌日、電話があり
アコム 「上司に確認したところ、次回期日が決まらないと和解の話はできないとのことでした」
と予想外な回答。
確かに、アコムとすれば予算の関係もあるでしょうから、少しでも時間稼ぎをしたいのは分かります。
それにしても、誠意のない回答です。
すでに、担当者レベルでは金額の話し合いもしていたのですから。
とはいえ、アコムが話し合いに応じない以上、どうしようもありませんので、要求どおり2回目の裁判期日が決まってから交渉を始めるしかなさそうです。
なお、それ以外の和解条件は特に最近変わった動きはありませんので、特に争点がなければ、和解後3ヶ月前後で返金日までの利息込みの満額という条件で和解できています。
ただ、今からの和解だと年内返金は難しいとのことです。
ケース④
アコムの取引明細では基本契約を解約している場合に「解約」と記載されます。
そして、解約していると必然的に次回の借入れの際に、契約をした上で、新たに借入をすることになります。
こういったケースでは、アコムは取引の分断を争ってくることがほとんどです。
今回は、完済から再契約まで2年以上空いていましたが、解約をしたのが完済から約7ヵ月後。
つまり、完済から再契約までは単純に2年以上経過していますが、解約から再契約までは1年半しか空いていないことになります。
とはいえ、解約から再契約まで1年以上の空白期間があれば、分断と認める裁判官も多いのが実情です。
しかし、今回は一連計算したときと個別計算したときの金額の違いが10万円少々の違いしかありませんでした。
アコムの担当者からは、
「今回は分断もありますが、いくらなら和解してもらえますか?」
と言われていましたが、一連でも個別でも金額に大きな違いがないので、アコムも労力をかけて本気で争ってくることはないのではないかとと予想しました。
そのため、一連計算の利息込みの満額でないと和解できない旨を伝えました。
そして、結果は予想どおり、利息込みの満額で和解成立!
今回は、分断が認められても第1取引が時効になるわけではありません。
アコムも徹底的に分断を争うとなると、それなりに手間暇がかかるわけですから、費用対効果を考えて一連計算の金額で和解に応じたのだと思います。
いずれにせよ、このケースでは早期解決ができてよかったです。
担当者から電話がありました。
アコム 「先生、○○さんの件ですがおいくらでしょうか?」
私 「いつもどおり端数カットの112万円でお願いします」
アコム 「先生、厳しすぎますよ~、他の事務所は8割とか9割でも和解に応じてくれますよ」
私 「そうなんですか、でも、うちは端数カットまでじゃないと和解できないんですよ。いつもどおりお願いします」
アコム 「せめて、110万円にして下さい」
私 「申し訳ないけど112万でないとダメです。なんとかお願いします」
アコム 「・・・わかりました。ただ、これからは何とかもう少しお願いしますね」
アコムはずっと同じ担当者なので、正直言って他の債権者のようにドライな対応はしにくいです。
ただ、言うべきことはきちんと言って、それでもダメなら訴訟しますが・・・。
アコムのように長期間、同じ担当者だと相手もこちらの意向も分かっているので、話が長くなることはないのですが、強硬な態度も取りにくいのでやりづらい一面もあります。
もしかしたら、アコムはわざと担当者を変えず、情に訴える作戦なのでしょうか???
ケース⑥
当事務所の住所地を管轄する千葉簡裁ではアコムとプロミスの過払い訴訟専門の係がありました。
しかし、過払い訴訟の事件数も減少しており、最近になってこの専門の係がなくなり、その他の業者と同じように通常の係に振り分けられることになりました。
確かに、千葉簡裁でも過払い訴訟の件数が減ってきている印象があるので納得です。
裁判所に行くと、他の事務所の事件も傍聴しますが、アコムとプロミスに関しては、特に分断等の争点がない限りは和解になっているようです。
当事務所の場合も、アコムとプロミスに関しては原則すべて返金日までの過払い利息込の金額で和解しています。
そのため、以前までの専門の係では、1回目の事件については次回期日を決め、2回目の事件については和解に代わる決定をするというのが基本パターンだったので、1人の代理人が10件くらいの事件を抱えていても、ものの1~2分で終了していました。
そのため、アコムとプロミスについては、大量処理ができて非常に便利だった印象があります。
とはいえ、今のところ2回目の期日までには和解になるので、専門の係がなくなっても大きな影響はなさそうです。
ケース⑦
三洋信販は10月にプロミスと合併しました。
それまでの三洋信販は提訴しても和解にならず、全て判決になっていました。
ところが、プロミスに吸収合併されて対応が変わりました。
最近、旧三洋信販の案件で利息込みの満額で和解になりました。
プロミスは提訴すると約1ヶ月後に第1回目の口頭弁論期日が入りますが、最近はすぐに電話がかかってきます。
そして、こちらの請求金額の端数カットで和解になり、さらに返金も第1回目の期日前です。
これは簡裁案件(140万円以下)だけでなく、地裁案件(140万円超)でも同様の提案をしてきました。
こうなると、手続き開始から2ヶ月程度で回収できる計算です。
いったい最近のプロミスはどうしちゃったんでしょう。
過払いの対応が経験したことがないレベルで良くなっています。
今だけなのか、それとも今後もこの傾向が続くのか???
過払い請求の件数が減ってきて、資金的に余裕があるのかどうかわかりませんが、早く回収できるに越したことはありません。
とにかく、迅速な対応をしてもらえると、こちらも助かりますし、うれしいものですね。
というのも、今年の中頃までは提訴しても、2回目の期日が近づかないと和解交渉ができなかったのですが、ここ最近は1回目の期日前に和解になることが多いです。
いずれにせよ、旧三洋信販に対する過払い請求は、判決までいかずに和解できるようになったので、今のところプロミスに合併されて正解といえます。
ケース⑧
クラヴィス(旧クオークローン)からプロミスに契約の切り替えがあった事案については最高裁判決があります。
内容はご存じの方も多いと思いますが、一連計算が可能という判断でした。
この判決により、プロミスも素直に一連計算に応じるのかと思いきや、そんなことはありませんでした。
ただし、今回のケースでは引き直し計算しても、多少債務が残るケースで過払いの事案ではありません。
こちらは、一連計算した残元金を一括返済する旨の和解案をFAXで送っていたのですが・・・
私 「先日、送った一括返済の和解案の件ですがどうでしょう?」
プロミス 「こちらとしては、クラヴィス分を一連計算した金額での和解は応じかねます」
私 「でも、最高裁判決出ましたよね?」
プロミス 「あの事案では一連計算となりましたが、すべてのケースに当てはまるというわけではありませんので」
私 「ただ、こちらは一連計算した金額でないと和解できませんので、あとはプロミスさん次第ですよ」
プロミス 「では、現時点では和解できないということになります」
債務が残るケースでも一連計算を認めないのですから、過払いのケースではなおさらでしょう。
せっかく、最高裁判決が出たのに、それに従わないというのはどうなんでしょう。
上場企業なのに、法を順守する気がないということでしょうか。
この対応には、久々に呆れてしまったというのが正直な気持ちですね。
ケース⑨
プロミス(現SMBCコンシューマーファイナンス)と分割返済で和解する際の話です。
利息制限法で引き直し計算をしても、負債が残る場合、一括もしくは分割で返済する必要があります。
もし、分割返済の場合でも、和解後は基本的に無利息になります。
これが、いわゆる任意整理というものであり、将来利息のカットは任意整理の基本です。
しかし、近年、貸金業者の中には将来利息のカットに応じず、完済日までの利息を要求してくるところが増えてきました。
ちなみに、大手のサラ金ではアコムが要求してきます。
そして、今回はプロミスから要求された次第です。
しかし、将来利息付の和解では任意整理の原則に反するので、こちらとしても、すぐに和解に応じることはできません。
そのため、プロミスの将来利息の要求を拒否していました。
すると、ある程度の日数が経過したときのことです。
プロミスから連絡があり、36回以内なら無利息で和解するとのこと。
プロミスも社名が変わって、任意整理の対応が変わったのかと思いきや、なんとか今までどおり無利息で和解することができました。
とはいえ、今後の対応に注意が必要です。
ケース⑩
モビットは通常、無利息での分割返済に応じてくれます。
しかし、今回は・・・
モビット 「○○さんの分割和解案を頂いた件ですが」
私 「はい、お願いします」
モビット 「この方、収入がかなりありますよね?」
私 「ええ、収入はそれなりにありますが負債総額が400万円を超えていますので、今回の分割案になった次第です」
モビット 「そうですか。こちらとしては、収入がかなり高い方なので一括でないと和解に応じられません」
私 「一括ですか!?それは無理です。先ほどお伝えしたとおり、負債総額が400万円を超えていますから」
モビット 「そうはいっても、こちらとしては一括でお願いしたいと思っております」
私 「分割は絶対に無理ですか?」
モビット 「2~3回なら」
私 「2~3回ですか・・・。モビットさんの負債額は50万円程度ありますから、とても無理ですね」
モビット 「そうですか。こちらとしても現時点では頂いた案では和解できませんので、一度、そちらでも検討してみてください」
私 「一括は無理だと思いますが、一応検討してみます」
確かに、収入は一般の方よりも高いですが、負債額もそれなりですから、とても一括返済は無理なケースです。
こちらとしては、払えないものは払えないので、あくまでも分割返済を要求していきます。
モビットは和解に時間がかかる場合は、提訴してくることもしばしばですが、そうなれば裁判所もモビットに分割返済を受け入れるように要求するでしょう。
返済できないから任意整理になったのに、どうやらその辺を理解していないようですね。
ケース⑪
プロミス 「Aさんの訴訟になっている件ですが」
私 「はい、どうぞ」
プロミス 「先生はタンポートから取引をすべて一連のものとして計算していますが、当社としては新たに契約書も取り交わしていますし、別取引であると考えています」
私 「そうですか。でも、こちらとしては一連計算で算出した18万円でないと和解しませんよ」
プロミス 「そういうことであれば15万円でどうでしょうか?これ以上はこちらも無理ですが?」
私 「15万円では無理ですね」
プロミス 「そうですか・・・では、今回は和解は無理ということで」
結局、この件は期日の2日前にプロミスから電話があり、18万円で和解することになりました。
今回のようにタンポートからプロミスから債権譲渡された場合、譲受人であるプロミスは過払金返還債務も承継します。
これは債権譲渡が「契約上の地位の譲渡」だからです。
プロミスも債権譲渡を受けておきながら「過払い金返還債務は承継しない」などと都合のいいことは言わないでもらいたいものです。
ケース⑫
今回は利息制限法で引き直しをしても負債が残るパターン。
プロミス 「○○さんの一括返済の件ですが、先日は和解案ありがとうございます」
私 「いえ、こちらこそ」
プロミス 「先生は旧クオークローン分とプロミス分を一連計算して約5万8000円の負債が残るという計算をされておりますが、当社の考えではあくまでも別取引と考えております」
プロミス 「そこで、それぞれを別取引としますと旧クオークローン分が約32万円の過払い、プロミス分が約42万円の残債務となり、差し引きすると約10万円債務が残る計算となります」
私 「そうですか。ただ、こちらとしては一連計算で算出した金額でないと和解するつもりはありませんよ。過払いの案件ではいつも一連取引の金額で和解していますし」
プロミス 「・・・では、一度検討しますので後日連絡いたします」
私 「わかりました」
数日後、プロミスから連絡があり、こちらの主張通りの一連計算で算出した残債務を一括返済する内容で和解となりました。
タンポートからプロミスへの債権譲渡もしくは債権切替は契約上の地位の移転と考えられます。
もし、プロミスが主張するように別取引として扱えば、何も事情が分からない借り手側が思わぬ不利益を被ります。
債権者側の一方的な都合で借主が損をすることは許せませんので、当事務所ではこれからも一連取引を強く主張していきます。
最後は芸能ネタ。
スギちゃんが骨折で入院してしまいましたが、本人も仕事ができなくなるのが一番不安でしょう。
それにしても、芸人に高飛び込みをさせるのは、もうやめた方がいいと思います。
あと、元ドリフターズの仲本工事と歌手の三代純歌が結婚したそうです。
三代さんの年齢は非公表ですが、40代前半とのこと。
40代と聞くと若くはありませんが、それでも20歳以上年下ですからすごいですね!