任意売却の費用
結論から言うと、任意売却では売主に費用はかからないのが原則です。
これは、任意売却をおこなう仲介業者のほとんどが、売却が成功した時しか報酬を請求しない成功報酬制を採用しているからです。
なぜなら、仲介業者は売却代金の中から仲介手数料を確実にもらえるので、売却が上手くいきさえすれば、報酬をもらえないということがないからです。
売主からすれば、仲介料を気にせずに任意売却をお願いできるということになりますが、中には売却が成功する前の段階で、着手金等の名目で費用を請求してくる業者もいるようです。
仲介業者にもいろいろな会社がありますが、任意売却は担保権者の同意が必要になるため、必ずしもうまくいくというわけではありませんので、売却前からお金を要求してくるようなところは、極力避けておいた方がよいと思われます。
もちらん、成功報酬といっても、印鑑証明書や書類郵送代や不動産屋(任意売却業者)への交通費等は自己負担しますが、それらは数千円から数万円で済みます。
また、債務と諸費用は売却価格の中から支出しますので、手出しはありません。
計算式にすると、「売却価格-(債務+諸費用)」となります。
ここでいう諸費用とは、担保権解除のハンコ代、税金滞納による差押え解除のハンコ代、担保権抹消の登記費用、マンションだと滞納管理費や修繕積立金、不動産屋さんの仲介手数料、引越費用(捻出できない場合もある)です。
ところで、任意売却も不動産の売却なので、譲渡所得税が課税されます。
しかし、資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難である場合、譲渡所得税は非課税です。
任意売却する状況の人の大部分は、上記要件に該当しますので、譲渡所得税はかからないケースが多いようです。
なお、任意売却後に自己破産をすることで、売却後に残った住宅ローンなどの借金も、すべて支払義務がなくなりますが、税金等の滞納があると、それらの支払義務は残ります。
税金を滞納し続けると、延滞金もかさみますので、自己破産をした場合でも、放置せずに分割払いの話をつけておく必要があります。
市町村税であれば、延滞金の減免規定により、ある程度は返済について考慮してくれることもありますが、国税の場合は、まず減免されることはありませんので注意が必要です。