競売の長所と短所
競売の最大の長所は、市場価格よりも安く買えることです。
裁判所が希望する基準価格は時価の7割程度なので、一般的に競売物件は市場価格よりも3割ほど安いといえます。
また、競売物件には通常の不動産取引では出回らないような希少な物件に巡り合うことができます。
例えば、極端に狭い土地や変形している土地等は一般の不動産取引ではほとんどお目にかかりませんが、裁判所による競売ではそういった希少性は一切考慮されず、一律に競売にかけられます。
これに対して、競売の短所にはどういったものがあるかをみていきます。
まずは、物件の引渡義務がないという点です。
これは、どういうことか言いますと、裁判所は競売の手続のみを行い所有権は移転してくれますが、その他の世話はしてくれません。
通常の不動産売買であれば、売主には物件の引渡義務があり、もし、賃借人等の居住者がいれば、立ち退いてもらったうえで物件を買主に引渡ししなければいけませんし、室内設備や鍵の引渡しもしなければいけません。
次の短所は、瑕疵担保責任がないという点です。
瑕疵担保責任というのは、売ったときには気づかなかったけれど、引き渡し後に判明した不具合を賠償しなければいけない責任で、たとえば、住んでみたら屋根からの雨漏りがひどかった場合等です。
競売手続きで落札した場合、瑕疵担保責任がないので、こういった不具合が後から発覚してもすべて自分で修繕しなければいけません。
つまり、落札物件にキズがあったり、誰かが居座っていても、すべて買受人の責任と費用で対処しなければいけないわけです。
それ故、そのデメリット分を差し引き、競売での基準価格は一般の市場価格よりも安く抑えているのです。
しかし、良い物件には多数の買受申出があり、落札価格は高くなり、場合によっては、市場価格を超えることもあります。
これでは、競売で買う魅力が乏しくなってしまい、落札してくれる人がいないこともあります。
そこで、競売より確実、迅速、安全に売却できる手続きとして任意売却というものがありますが、詳しい説明は次回以降にしたいと思います。