任意売却を知るためには、それと対称的な競売を知っておくと理解が深まりやすい面があります。
そこで、今回は競売手続きの概略を説明したいと思います。
例えば、銀行から住宅ローンを借りる際には、住宅に抵当権を設定することになりますが、約束どおりに返済しないと最終的には銀行が裁判所に競売を申立てます。
競売の申立てが裁判所になされると、裁判所から債務者(住宅ローンを借りた人)に対して、競売手続開始決定書という書類が郵送され、住宅には差押登記がされてしまいます。
その後、裁判所の執行官と不動産鑑定士が住宅を見に来て査定をし、競売による売却の基準価格と最低価格などを決めることになります。
それを受けて、裁判所が競売の各種書類を作成し、これらの書類を誰でも閲覧できるように公開します。
そして、閲覧書類を見て当該物件を購入したいという希望者がいれば入札し、一番高い買受金額を申し出た者が買い受けることになります。
また、買受希望者が現れなかった場合は、特別売却という手続きに移行しますが、具体的な方法については裁判所によって多少異なります。
特別売却手続きは、競争入札ではなく簡単に言えば早い者勝ちで、金額も最低売却価格となります。
もし、特別売却でも買受希望者が現れなければ、裁判所は最低売却価格を見直したうえで、再度、通常の期間入札をおこなうことになります。
なお、通常の落札者であれば裁判所が売却を認めないということはありませんが、よほど落札者に問題があるとなれば裁判所が売却不許可決定を出すこともあります。
以上が競売手続きの大まかな流れですが、いわば公のオークションといえます。
ところで、落札者が裁判所へ納付した買い受け金は、裁判所によって各債権者に配当されますが、一般的に落札金額は市場価格の6~7割と言われています。
その点で、金融機関側からしたら少しでも多く回収できる任意売却の方を望む場合があるわけです。