今回は、任意売却ができない場合について書きます。
まず、任意売却が成立する最低条件は、所有者の売ってもいいという意思です。
そもそも、所有者に売る気がなければ任意売却はできません。
実際には、任意売却の斡旋や調整はすべて仲介業者がおこなってくれて、所有者は売買契約の手続きのみをおこなえばOKです。
ただし、それだけでも面倒がるようでは任意売却は最初からやめておいた方がよいでしょう。
なお、所有者というのは単独所有であれば特に所有者1人で問題ありませんが、もし、共有になっているのであれば共有者全員が売ろうと思わなければだめです。
よって、3人の共有の場合で、そのうち2人が売る気でも、残りの1人に売る気がなければ任意売却は成立しません。
こういった場合は、なんとかして売る気のない1人を説得して売却手続きに協力してくれるようにしなければいけません。
あとは、所有者以外にも不動産に担保を付けている債権者(これを「担保権者」といいます)全員の同意が必要です。
これは、所有権が移転しても抵当権が抹消されない限り、現実的に新たな買い手が付かないからです。
具体的には、抵当権の抹消は所有権の移転と同時に抹消することになります。
もし、抵当権が3つ付いてれば、3つの担保権者から事前に同意を取り付ける必要があります。
よって、担保権者の1人でも反対すれば任意売却は成立しませんので、競売にならざるを得ません。
実際のところ、任意売却に同意するかしないかは、あらかじめだいたい予想はつくもので、
この辺は任意売却を多く手掛けている仲介業者ほどそういった情報にも詳しいものと思われます。
いずれにせよ、任意売却が成功する最低条件は、所有者の売却意思と担保権者の抹消についての同意ということになりますが、
任意売却をしようと思っている所有者にとっては、抵当権者の同意のみが最大の障壁となります。
そして、最終的には適正な金額で売出をして、実際に買い手が現れるのかどうかが問題となるわけです。