任意売却が競売より優れている点の一つにプライバシーが守られるという点があります。
どういうことかといえば、競売では裁判所やインターネットの競売情報に自分の物件情報が載ります。
また、不動産業者が物件の下見に来たり、場合によっては仲介業者がどういう持ち主なのかを近所に聞き込みすることもあります。
これに対して、任意売却は表向きは通常の売買と変わらないので、ご近所や第三者に住宅ローンが払えなくなったから家を売却していることがバレることはありません。
よって、ご近所に知られるのが嫌な場合は、競売よりも任意売却を選択した方がよいといえます。
ところで、任意売却後に自己破産するケースも少なくありませんが、この場合は免責決定によって支払義務はなくなるので、住宅ローンの残債務について債権回収会社と話をする必要はありません。
しかし、任意売却後に自己破産をしないで、残った住宅ローンを返済していく場合は、債権回収会社と今後の支払いについて話し合いをする必要があります。
その場合、一般的に競売よりも任意売却の方が相手に与える印象はよいと思われます。
なぜかというと、個人的には人としての部分が大きいのではなと思います。
自己破産後の話し合いでは、交渉相手が債権回収会社になることが多いと思います。
債権回収会社と聞くと、なにか堅そうな印象がありますが、実際の担当者は普通のサラリーマンです。
相手方からすれば、住宅ローンが払えなくなって、そのまま放置して競売になった方と任意売却とはいえ、きちんと売買の手続きをした方では印象が違います。
放置した結果、競売になった方に対しては、和解してもいずれ返済が滞るのではないかという疑念を持ってもおかしくありません。
反面、任意売却をした方に対しては、少なくても競売になった方よりは印象がよいと思います。
結局のところ、話し合いというのは相手も人間ですから、誠意が伝わった方が結果は良くなる確率が高いです。
その意味で、売却後に自己破産をしないで返済をされたい場合は、競売より任意売却の方がよい結果になる可能性が高いのではないかと思われます。