遺言書を作成すべきケース、保管方法、公正証書遺言との違い

遺書と遺言書。

言葉は似ていても全く別物です。

遺書というのは、よくテレビドラマなどで、死期が近い方や自殺をしようとしている方が、

「今までご迷惑をかけてすいませんでした」

「これからも家族みんなで仲良く暮らすように」

などと書き残しているものです。

遺書に特段の取り決めはなく、何を書いても自由ですし、どこに書いても自由です。

最近では、ビデオメッセージで遺書の代わりに遺す方もいます。

このように遺書は遺族に対するプライベートなメッセージといえます。

これに対し、遺言書には細かいルールがあり、ルールを守っていない遺言書は原則無効です。

また、遺言書は実際の相続手続きで非常に重要な役割を果たします。

つまり、遺言書は実務的なものですが、遺書は精神的なものといえます。

このように、言葉は似ていますが、遺書と遺言書には大きな違いがあるわけです。

遺言書を書いておいた方がよい典型的なケースは、夫婦二人で子供がいない場合です。

この場合、夫が死亡しても相続人は、妻のみとは限りません。

夫の親が健在であれば、親が妻と共に相続人となります。

また、親がいなくても、夫に兄妹がいれば、兄弟も相続人となります。

そのため、夫婦二人で子供がいない場合は遺言が有効となります。

遺言がないと、上記のとおり、妻以外にも相続人が発生する可能性があり、トラブルの元になります。

その点、遺言書で

「全財産を妻に相続させる」

等と書いておけば安心です。

仮に、夫の親が相続人になる場合は、親には遺留分がありますが、通常のケースであれば夫の親は夫よりも先に亡くなっていることが多いので、遺留分を請求されるということは少ないと思います。

また、夫の兄弟には遺留分はありませんので、遺言を書いておけば全財産を妻に相続させることができます。

このように、遺言を作成することで相続トラブルを未然に防ぐことができるわけです。

なお、遺言書を作成するには一定のルールがあり、それを守らない遺言書は無効です。

ただし、ルールを守ってさえいれば、

「私の死後、家族が仲良く暮らすことを切に願う」

といったメッセージを書いても遺言書自体が無効になることはありません。

つまり、メッセージには法律上の効力はありませんが、書いたからといって遺言書自体が無効になることはないということです。

しかし、いくら無効にならないといっても、説教じみたことを長々と書くのはおススメしません。

遺言書はあくまでも、遺産の配分方法等を指定する法的文書です。

その点を踏まえて、メッセージを入れる場合でも、最低限になるように考慮したほうがよいでしょう。

なお、自分で書く遺言書を自筆証書遺言といいますが、書き方にもルールがあります。

今回は、書き間違えた場合の訂正方法を説明します。

訂正する場合は、訂正したい場所を指示し、これを変更した旨を付記して署名した上、変更した場所に印を押す必要があります。

つまり、訂正箇所を線で抹消して横に字句を加入して押印した上、その欄外に「○字削除○字加入」と付記して「署名」するもしくは、遺言書の末尾に第○行中「○○」を「○○」と訂正」と付記して「署名」することになります。

しかし、上記の訂正方法は厳格すぎるという批判もあります。

このため、現実的には訂正箇所又は欄外付記の部分に押印はしても、署名まではしていないことが多いです。

この点につき、判例は

「加除・訂正が方式を具備していない場合の効果については、これによって遺言書全体が当然に無効になるわけではなく、遺言書は加除・変更がなかったものとして有効であり、その記載自体から遺言者の真意を確認するについて全く支障がないときは、遺言の効力に影響を及ぼすものでなない」

としています。

とはいえ、間違った場合は、最初から書き直したほうが無難です。

ところで、遺言書を書いたはいいがどのように保管しておくのがよいのかわからない・・・

という方も多いのではないでしょうか。

遺言書の保管方法については、法律がどこどこにしまっておくようにとは決めていません。

現実的には、以下のような保管方法が考えられます。

1. 愛用の金庫

2. 銀行の貸金庫

3. 知り合いの弁護士等の専門家や信用のできる第三者に預ける

4. 会社に書類保管箱

5. 入院中ならその病院の病院長や事務局長

6. 信託銀行(ただし、公正証書遺言に限る)

保管方法は様々で、特に制約はありませんが、遺言者の死後に見つからないようでは、せっかく作った遺言書が無意味になってしまいます。

その辺を考慮して保管方法を決めるのがよいでしょう。

なお、遺言はもちろん自分で書くこともできますが、公証人に作ってもらうこともできます。

ただ、公証人に作ってもらうには公証役場に出向いたり、手数料がかかります。

手数料については、財産の価額によって異なりますが、詳しい金額は今回は省略します。

そのような、作成する手間や費用をかけてまで公正証書にするメリットはあるのでしょうか?

私はあると思います。

それは、主に以下の理由によります。

1. 公正証書遺言の原本が公証役場に保管されるので、遺言書が紛失したり、内容が変更される恐れがない。

2. 公証人という法律の専門家が作成するので、内容が不明瞭で分からないといった争いが起きない

せっかく、自分で書いても、なくしたら元も子もありません。

また、内容が不明瞭だと、死後の争いに発展する可能性があります。

そういった自筆証書遺言のメリットを考えれば、手間や費用のことを考えても公正証書遺言にしておいた方がよいと思います。

ただし、公正証書遺言を作成するには、証人2人以上の立ち会いが必要です。

では、誰に証人を頼めばいいのでしょうか?

その前に、証人になれない人がいるので、注意が必要です。

1. 未成年者

2. 将来、財産を相続する予定の人(法定相続人や遺贈を受ける人)

3. 上記2の配偶者や直系血族(子供、孫、父母、祖父母など)

上記以外にも公証人の配偶者などはNGですが、一般的には上記の3つに該当しない方にします。

もし、証人になってくれる人がいない場合は、公証役場で紹介してもらえます。

その場合、おもに公証役場に出入りをしている司法書士や公証人の長年の知り合いがなること多いようです。

証人を紹介してもらった場合は、証人に直接、報酬を支払うことになります。

相場は1人あたり5000円~1万5000円ですが、事前に確認することをおススメします。

お気軽にお問い合わせください

受付時間:平日9時~18時
電話番号:043-203-8336

メールでのお問い合わせはこちら